出来上がりをイメージして、原寸大の木型を造る
1隻ごとに異なるデザインの船の製作現場の第一工程を務めるのが木工担当者だ。 「2次元の設計図をもとに曲線だらけの3次元の船体をイメージして、」 高さ3ｍ、長さ30ｍ超の原寸大（船の外側を覆う大きさ）の木型を製作している。 作成した木型の内側に強化プラスチック(FRP)を積層（張り重ねる）したあと、 木型は壊してしまうのだが、自分が造ったモノが残らないことに対する未練はない。
「完成後に、船主から『乗り前がいい船作ってくれたなぁ。（注※）』と言ってもらえると最高です。」と笑う。
設計図に表せない曲線が生み出す乗り前を生み出している自信が感じられる。 入社当初は船舶製造配属で、木工担当に移ってからは、「追いつけ追い越せでやってきた。」 「これだ！なんて満足したことはない」と言い切った。上を目指す心意気がうれしい。
※乗り前がいい　
乗り心地がいいというのに加え、時化（しけ）にも強い。
スピードを出した時も安定しているし、漁をしている最中でも安定しているような船をいう。

製造部救命艇部門の積層・艤装を担当していますが、最近は主にキャノピーとハルの艤装を行っています。別部門より配属されて１年、任された艇をミスなく作り上げることができた時に自信が持てるようになりました。救命艇は型式承認を得ているので、同型の艇は全く同じ製造工程を踏みます。逆を言えば、部品一つでも承認を得たもの以外を取り付けることは許されません。
同じものを作るといっても、艇体は小さくても全長４～５m程はあるのでベルトコンベアーに乗せての流れ作業はできないので、自分が艇内に入って部品などを取り付けます。且つ最短でも半年かけて20人以上で作る漁船とは違い、月に３～４艇を半分弱の人数で作りあげるのでスピードと正確性が重視されます。ニシエフの船は設計から製造・検査に至るまで社内で行っています。最近、小型船舶操縦免許を取得したので社内検査で自分が作った艇を自分で操縦し、速度検査まで携われることは今まで関わった艇とは違った達成感があります。今は救命艇部門でエースの先輩と一緒に作業が出来ているので、吸収できることはどんどん吸収して自分もニシエフのエースと言ってもらえるように頑張りたいです。
また、新事業や新規開発にも声をかけてもらえるようになり、自分が戦力の一員になれているのだと感じられることがとても嬉しいです。

リクルート活動をする学生に向けてメッセージ

学生時代に漠然と思う社会人と実際になる社会人とでは、厳しさは想像以上です。学生として過ごした時の倍以上の時間を社会人として生きていくことになりますが、不思議なことに学生の時より１年１年があっという間に過ぎていきます。歳を取るスピードも倍速に感じますので、これをしておけば良かったと思う事もしばしばあります。良いことも悪いことも全て自分を成長させる糧になるので、自分にはできないと思わずにまずはチャレンジしてみることが大事だと思います。

船舶営業の業務は市場（顧客）の状況を確認し社内に報告、社内の工場の状況を確認しつつ営業活動を行う事です。しかしその中での主務は社外と社内の橋渡しだと思っています。ニシエフでは、既存の船舶の製品は有りません。お客様との打合せによって一隻一隻、一から設計・製造を行います。オーナーの要望を聞き、社内に伝え、要望に対してどのようにしてそれを形にするのかを話し合います。お客様が納得いく内容になるまですり合わせを行い、見積もり、仕様書の作成を行います。また、営業部の仕事は引き合いから、引渡までお客さんと関わっている時間が一番長い部署になります。
特にオーダーメイドの製造業になるので、契約が終わったら引渡まで業務が無い訳では無く、建造中に実物を見て配置の確認や細かい仕様の打ち合わせ等も行います。引渡後も、実際に使用した評価や、改善点等の確認を行い、次の船につなげられる様に確認作業を行います。
しかし、一概に船と言われて想像できる方が何人いるでしょうか？日本人の主な移動手段は車、電車、飛行機ぐらいで船に乗られたことのある方はあまりいないのではないかと思います。私は、船とは動く家だと考えています。船の中には寝室、トイレ、食堂、調理場もあります。さらにはそれにエンジン、油圧機械等を積んで航行するので膨大な専門用語以外にも性能や特質など覚える事が多く苦労しますが、毎日発見だらけで自分を成長させられます。
船の製造期間は長く、一隻の船の製作には半年から一年ほどかかります。船はお客様にとっての大事な仕事道具。完成する最後の最後までお客様と話し合い、どの様にすれば要望をかなえられるか親身になって考えていきます。一隻造るのも一苦労ですが完成した際にはそれだけの達成感が感じられます。オーダーメイドの船舶でも、FRPと言う素材は型さえ作れればどの様な形にでも成型できます。これまでの実績・経験と新たな技術を一隻一隻建造するごとに積み上げ、次の船に生かし、お客様の声を聴き作り上げた船それぞれが新型モデルです。船に関して知識をつける事はもちろん、今までの技術にとらわれない新たな発想を加え、製品となり、お客様に「ニシエフで造ってよかった」と言われた時、最高にうれしい瞬間です。

リクルート活動をする学生に向けてメッセージ

就職活動とは、面接を受けて、テストを受けてふるいをかけられる立場にあると思っていませんか。しかしながら、もっと前段階から言えば皆さんが会社をふるいにかける立場にあるのです。
企業は星の数ほどあります、その中で自分の思いに合った会社を見つけるのは大変かもしれません。その会社が良い会社かというと、人それぞれの判断があるかと思われます。私は、会社は自分のしたい事を実現するためのツールだと思っています。
就職活動に一番大切なのは、会社に入る事が目的なのでは無く、もっと根本にある自分がなりたい理想像を具体化させることが重要だと考えます。
10年後あなたはどうなっていたいか考えてみて下さい。
「優雅な暮らしをしたい！！」「東京に住みたい！！」「お金持ちになりたい！！」「のんびり暮らしたい！！」「自分の好きな仕事をしたい！！」良いと思います。
ではその為に今、どの様な就職活動をするべきか、どの様な会社に入るべきか、10年先ですのでそれを実現する方法はたくさんあるはずです。大手企業に入る、自分で起業する、はたまた仕事をしないと言う選択肢も出て来るかもしれません。そんな切り口で会社探し、将来設計をすると少し視野が拡げられて就職活動を楽しんで頂けるのではないかなと思います。